「母との同居 – 第1話: 靴下の行方」
私、佐藤美香は35歳。
5年前に父が他界し、ふさぎ込む母のために同居を決意してから、早くも5年が経っていた。
私、佐藤美香は35歳。
5年前に父が亡くなり、ふさぎ込む母のために同居を決意した。
最初は良かれと思ってのことだったが、最近では毎日が試練のように感じられる。
仕事から疲れて帰宅すると、玄関に母の靴が整然と並んでいた。
母は潔癖症で、靴を脱ぐ位置や向きまで決まっている。
自分の靴を脱ぐと、すぐに母の声が聞こえた。
「美香、靴はちゃんと揃えて脱いでよ」
「はいはい」
と返事をしながら、心の中でため息をつく。
リビングに入ると、母がテレビを見ながらソファに座っていた。
目はテレビに向けられているが、その表情には不機嫌さが漂っていた。
「お帰り」
と言う母の声には、どこか冷たい響きがあった。
「ただいま」
と微笑みながら答えるも、気持ちは沈んでいた。
私は自分の部屋に向かい、着替えようとクローゼットを開ける。
しかし、またしても靴下が見当たらない。
「お母さん、私の靴下見なかった?」
「洗濯機に入れたわよ。汚れてたから」と母は答えた。
「え?でも昨日買ったばかりの新しい靴下だったのに…」
「新品でも汚れたら洗うのが当然でしょ」と言い放つ母。
イライラが込み上げてくる。
新しい靴下を勝手に洗濯されるなんて。
しかも明日の重要な会議のために用意していたものなのに。
「お母さん、私の物には勝手に触らないでって何度も言ってるよね」
母は眉をひそめ、「あなたはいつもそうやって私のやり方を否定する」と返してきた。
その声には明らかな不満が滲んでいる。
「だって、それは私の大事なものなんだから!」
「大事なものなら、もっと自分で管理しなさいよ。私だってあなたのためを思ってやっているのよ」
私は頭を抱えた。
潔癖症できれい好きな母との生活は、私の日常を乱すばかりだった。
彼女の独自のやり方が、私には耐え難いストレスとなっていた。
部屋に戻り、ドアを閉める。静かな空間で壁を殴りたい気持ちを必死にこらえた。
このままではお互いに疲弊するだけだと感じていた。
こんな日々がこれからも続くのか……
母を助けたいという気持ちとを持ったことに後悔する。
お父さん、ごめん。自分の生活スタイルもちゃんと守りたいよ助けて….
父の遺影に向かって無言で話しかける。
靴下一つでこんなにもストレスを感じる日々。
これが母との同居生活か。
明日からはもっと上手く対処しよう。
そう自分に言い聞かせながら、私はベッドに横たわった。
しかし、頭の中では既に明日の朝の光景が浮かんでいた。また新たな小さな戦いが始まることだろう。
今日はビール350缶2缶飲んで眠りについた。


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